身に着けるだけで宇宙と繋がれる気さえしてくる、
真っ赤な魔法の帽子がありました。
それはその少女にとって、
とてもとても大切な帽子でした。
まるで身体の一部であるかのように。
自ら発光している訳ではなく太陽の光を反射して、
その神秘的な光を見せる月。
そこから見たら今の私たちは、どんな風に映るのでしょう。
あなたが笑ってくれるから、私も笑顔になる。
そういう事もありますよね。
「待って!その赤い風船、待って!」
やがてその風船は、ネイビーのコートのお姉さんが
追い掛けて掴まえてくれたんですって。
どこかへ向かって、走っていたその途中に。
その少女は、コートの彼女に何かを思い出させようと
風船から手を離したのかも知れません。
そう言えば少女のスカートも、どこかで見た事のあるネイビーブルー。
「デキル女風?」なんて気に入って買ったネイビーのトレンチコート。
確かに気に入って買った筈だったのに。
紅い口紅と一緒に、今日までこれが「自分だ!」なんて思っていたのに。
思い出してしまったの。
何処へとなく流れる真っ赤な風船を見付けて、
子どもの頃泣いて欲しがったあの風船の事。
いざ手を差し出すと、風船をくれたピエロに怯え、
また泣いてしまった事。
やっと手にした風船が、宝石のように輝いて見えた事。
思い出してしまったの。それも自分だった、て。
どれも間違いなく自分の筈なんだけど、
何故か自分が自分である感覚の感じられない、そんな場所があります。
一生懸命つくっていたそれは、
何との境界線?
“fence”と“barricade”とで迷いました。
けどきっと彼の作ったそれは、単なる境界線でなはなく、
意味のあるものだったのだろうと思ったんです。
長いマフラーで首に口元を隠して、まだまだ進行形でマフラーを編み続けています。
あ〜あ、地面にまで付いちゃって…
「だって風が冷たいんだもの。もっとグルグル巻きにするの。」
そんな事したら、身動き取れなくなっちゃうよ?
少し身体を動かしてご覧?
冷たいと思っていた風も、そんなに悪いものじゃないから。
眉間にシワを寄席せ、怪訝そうな彼。
脇に抱えているのは…
ゴミ箱?
中のゴミ、溢れてるよ。
必死で隠そうとしているあなたのそのゴミ箱の中身。
あなたの周りの仲間たちの目に触れてしまったとしても、
笑ったり、さげすんだりする事はありませんよ。
ピンクのワンピースに身を包んで、頬を上気させた少女。
手にしたそれは…?
なるほど、そういう事だったのね♪
身に覚えのある、そのカンジ。
気付くとザワザワ・気付くとウキウキ・そして気付くと目で追って…
全力で隠れてしまいたい程の一時だけど、それはきっと、何かを生む筈。
青く広い空の下、たたずむ1人の少年。
彼は今立ち止まっているのか、前へ進むその途中なのか…
覗き込むその手のひらに、一体何を見ているのでしょう。
俯いてしまっているとも、決意とも取れるその表情。
彼が見つめるのはきっと、これまで握りしめてきた「大きな木」の種なのでしょう。
私は、そう信じたいと思います。