「デキル女風?」なんて気に入って買ったネイビーのトレンチコート。
確かに気に入って買った筈だったのに。
紅い口紅と一緒に、今日までこれが「自分だ!」なんて思っていたのに。
思い出してしまったの。
何処へとなく流れる真っ赤な風船を見付けて、
子どもの頃泣いて欲しがったあの風船の事。
いざ手を差し出すと、風船をくれたピエロに怯え、
また泣いてしまった事。
やっと手にした風船が、宝石のように輝いて見えた事。
思い出してしまったの。それも自分だった、て。
どれも間違いなく自分の筈なんだけど、
何故か自分が自分である感覚の感じられない、そんな場所があります。
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